
手術室勤務から精神科の急性期認知症病棟へ——。
キャリアの転機を迎えた看護師1年目の方に、「配属ガチャ」で精神科に配属されたリアルな心境を伺いました。
入職前の不安、実際に働いて感じたギャップ。
たった1ヶ月の勤務でも見えた“精神科の奥深さ”。
さらに今後のキャリアの展望や、「辞めたい」と感じなかった理由まで、赤裸々に語っていただきます。
1. 入職前の不安とギャップ
▶︎ Q. 急性期認知症病棟に配属されると聞いたとき、率直にどう思いましたか?
正直、とても不安でした。
「認知症看護は難しそう」「急性期は忙しくて大変そう」──そんなイメージが強くて…。
でも、いざ働き始めてみると、職場の雰囲気が穏やかで、先輩にも気軽に相談できる環境だったんです。
思っていたようなギャップはほとんど感じませんでした。
2. 精神科を選んだ理由と配属の経緯
📌Q. なぜ精神科を選ばれたのですか?
正直なところ、将来の働き方まで見据えての選択でした。
体力に不安を感じる年齢になっても、長く続けられる場所ってどこだろう…と考えたとき、精神科が選択肢に浮かびました。

将来を見据えた「続けやすさ」から精神科を選んだという現実的な視点は、読者にも参考になるはず。
また、男性看護師のニーズが高いことも後押しになりました。
とはいえ、配属希望を出すときは「どこでも大丈夫です」と伝えただけで、
結果的に、急性期の認知症治療病棟に配属されることになったんです。
3. 看護師1年目で感じた不安や困難
ーー どんなことに困りましたか?
👉最初に戸惑ったのは、BPSD(行動・心理症状)のある患者さんへの対応でした。
認知症の主な症状である記憶障害等の進展と関連しながら、身体的要因や環境要因等が関わって現れる、抑うつ・興奮・徘徊・妄想などの症状のことをいいます。

「これって正しい対応?」
「怒らせてしまったかな?」
と、不安になる毎日でした。
あの瞬間、看護師としての自信が揺らぎました。
🌀たとえば…
- 暴言(突然の罵声や否定)
- 暴力(叩く・投げるなどの行動)
- 徘徊(目を離したすきにいなくなる)
教科書で見た知識と、現実のギャップに戸惑う毎日でした。
とはいえ、まだ勤務して1ヶ月。
大きな失敗はないものの、強く記憶に残っているのは患者さんが暴れたときの対応です。
あの瞬間、看護師としての自信が揺らぎました。
📘「あのときの不安も、今の自分を支える“糧”になっていた。」
4. 予期せぬアクシデントと復帰予定
🏥 思いがけないケガで、突然立ち止まることになりました。
📅2024年4月末、勤務中にアキレス腱を断裂。
急なアクシデントに戸惑いながらも、5月〜8月は療養のため休職しています。
🚶♂️ 現在はリハビリに専念し、9月からの職場復帰を目指して準備を進めています。
5. 急性期認知症病棟での学びと気づき
ーー 1ヶ月間働いてみて、どう感じましたか?
🩺 あらためて実感したのは、「技術を磨くなら急性期、寄り添うなら精神科」ということでした。
🧠 精神科の魅力
- 患者さんとじっくり関われる
- 落ち着いた環境で「聴く力」が磨かれる
💉 急性期のメリット
- 技術(点滴・採血・急変対応)を積める
- スピード感と判断力が身につく
キャリアのスタートとして「急性期総合病院」はやはり強いな…と感じました。
📌急性期でつらかったあなたへ
▶︎急性期での1年目をどう乗り越えたのか?先輩ナースのリアルも読んでみてください。
【インタビュー】3年目ナースが語る1年目の地獄と希望
📘「まずは技術を土台に。その先に“寄り添う看護”が広がっていくのかもしれない。」
6. 精神科で鍛えられた力とは?
ーー 自分が成長したと感じたことは?
🧏♀️ 「最後まで、ちゃんと聴く」──その姿勢が、自然と身についた気がします。
オペ室勤務のときは、忙しさの中で“必要な情報だけを聞き取る”ような関わりが中心でした。
でも今は、患者さん一人ひとりと向き合いながら、最後まで話を聴くことの大切さを実感しています。
✅ 「話を途中で切らない」
「否定せずに聴き切る」
📘「ちゃんと聴けるようになってきた自分を、少し誇りに思っています。」
7. 職場の人間関係や雰囲気について

「精神科って、もっと閉鎖的な雰囲気かと思っていました…」
✅ 困ったときにすぐ聞ける雰囲気があって、「精神科経験はないから…」と遠慮せずにいられるのが本当にありがたくて。
💡急性期から異動してきたスタッフも多くて、最初の悩みに共感してくれる人がたくさんいるのも心強いです。
📘「安心して相談できる人間関係」って、想像以上に大切なんだな…と、改めて実感しました。
💭精神科=閉鎖的というイメージが変わった瞬間でした。
8. 「辞めたい」と思ったことは?
🫧 新人の心の声
「やっぱり向いてないかも」「もう辞めたい…」
──そんな気持ち、ふと頭をよぎったことはありませんか?
📌 不安なときほど、自分だけじゃないと知れることが大事。
「もう辞めたいかも」と感じたあなたに、読んでほしい話があります。
🫤私も、精神科の急性期病棟に配属されたと聞いたときは正直不安でいっぱいでした。
🌱 でも実際に働いてみると、不安は少しずつ安心に変わっていったんです。

🫶 まだ精神科に働き始めて1ヶ月ですが、「辞めたい」と感じたことは一度もありません。
思っていたよりも温かくて、落ち着いていて、ちゃんと支えてくれる環境がある──
✅「自分はここでやっていけそう」──そう思える瞬間が、確かにありました。
9. 後輩に伝えたいこと

「え…精神科?」
配属を聞いた瞬間、戸惑ったり、不安になったりする人も多いと思います。
私もそのひとりでした。
🟨 Point:基本技術は急性期で学びやすい
📌 正直な話、新卒〜3年目くらいまでは、急性期総合病院でスキルを積んでおくのが無難です。
点滴、採血、急変対応など、基本技術はやっぱり急性期のほうが圧倒的に経験できます。
でも──
もしあなたが、急性期のスピード感や人間関係で疲れてしまったなら、精神科単科病院も“逃げ”じゃなく“戦略”になります。
🌱 落ち着いた環境で、じっくり患者さんと関わる中で、「聴く力」や「観察力」は必ず育ちます。
ただし注意点として、精神科に長くいると、急性期への復帰が難しくなる現実もあります。
📝 自分の「今」と「これから」を天秤にかけて、選んでみてください。
✅「どちらが正解か」じゃなくて、「どちらが“今の自分”に必要か」で選んでいい。
10. 今後、総合病院の急性期に戻りたいと思いますか?
💭 アキレス腱の回復後も、総合病院の急性期に戻りたいとは思っていません。
🟨現場のスピード感、緊張感、責任の重さ──
若いうちは踏ん張れたことでも、年齢を重ねるにつれて、少しずつ身体に響いてくるんです。
📌急性期でつらかったあなたへ
▶︎急性期での葛藤や失敗も、実は多くの1年目が通る道でした。
3年目ナースが語る“地獄の1年目”の体験談はこちら
👣 特に40代以降は、夜勤や急変対応といった“体力勝負の働き方”が厳しく感じるようになってきました。
体の声にちゃんと耳を傾けて、「これからも働き続けられる道」を選びたくて。
✅「無理に戻るより、“続けられる選択”のほうが、私にとっては正解でした。」
11. 夜勤のリアル

🛏️ 夜勤の休憩、ほんとに取れていますか?
「1ヶ月に1回、まともに仮眠できたらラッキー」—— そんな夜勤、経験したことありますか?
本来は【120分休憩】のはずが、実際は【60分程度】でバタバタ再始動。
仮眠どころか、椅子に座れたらマシ…なんてことも。
若いうちは何とかごまかせたけど、
40代を超えると、本当にキツくなってきます。
🌀 体は確実に変化しているのに、現場は相変わらず“体力勝負”のまま。

夜勤が続くたびに「このままでいいのかな……」と
ふと立ち止まりたくなる自分がいました。
あなたは休めていますか?
12. 看護師の給与について思うこと
💰 昇給、ほんとにこれで大丈夫?

「このまま何十年も、給与ほぼ横ばいで働き続けるのかな…?」
✔️ 31歳を超えると、昇給はほとんど頭打ちに…
✔️ 責任だけが増えていくのに、給与は横ばい
✔️ 将来設計に不安を感じている看護師は少なくありません
医療機関等の賃上げに係る入院・外来医療等の調査・評価分科会における検討結果
そんな実感、ありませんか?
昇給の伸びが止まると、将来設計が一気に不安になりますよね。
年々責任は増えるのに、手取りはほぼ横ばい。
「このまま看護師を続けていて大丈夫かな…」って、ふと不安になることも。
📉 将来が見えないと、転職や副業を考え始めるきっかけにもなります。
あなたは「今のままの働き方」で、本当に大丈夫ですか?
まとめ|向いてないかも…と思った精神科で、私が見つけた安心感
ーーー
「向いてないかも」「大丈夫かな」
そんな不安を抱えて始まった精神科勤務。
でも、思っていた以上に温かくて、ちゃんと支えてくれる環境がありました。
急性期のように技術を磨く場所ではないけれど、
“人を看る力”や“寄り添う姿勢”は、確実にここで育っています。
焦らず、じっくり育てていける環境があることは、何よりの安心材料です。
そして今、心から思うんです。
🌱「続けられる働き方」を選ぶことは、決して甘えじゃない。
むしろ、これからの看護師人生を“自分らしく”生きるための一歩なのだと。
もしあなたがいま、配属先に戸惑っていたり、
これからの働き方に悩んでいたりするなら──

どうか、「精神科」という選択肢にも、少しだけ目を向けてみてください。
あなたにとって、意外と心地いい場所かもしれません。