理学療法士が語る“訪問リハビリ1年目”の真実|知らないと損するリアル

理学療法士が語る“訪問リハビリ1年目”の真実|知らないと損するリアル
<strong>理学療法士</strong>
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「訪問って、一人で全部判断するの……?」

「急変時、自分だけで対応できる自信がない」

訪問リハビリの世界に足を踏み入れたばかりのあなたへ。
その不安、わたしも1年目に痛いほど感じました。

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わたしも最初の1件目、前日から緊張で眠れなかったのを覚えています

今回は、訪問看護ステーションで10年のキャリアを持つ理学療法士が、“あの頃の私”に向けて語ってくれました。
病院との違い、はじめて直面した困難、そして今だからこそ分かる訪問リハビリの奥深さとは──。


1. なぜ「訪問リハビリ」を選んだのか?

病院でのリハビリ経験を経て、私は「訪問看護」の世界に飛び込みました。
理由はシンプルで、「訪問リハビリを続けたい」という強い想いがあったからです。

病院勤務では、異動や部署の事情で、自分のやりたいリハビリが思うようにできないことも多く……。

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「このままでは、目の前の利用者さんとしっかり向き合えない」と感じた私は、念願だった訪問看護ステーションへの転職を決意

とはいえ、最初の職場は片道1時間のバイク通勤で心が折れそうになり、
次に選んだ職場では、子どもの誕生という人生の転機に合わせて自宅近くを選んだものの、まさかの事業所閉鎖でまた転職に。

それでも、私はずっとブレずに持ち続けてきた想いがあります。
それが、「訪問リハビリをやりたい」という軸。

訪問リハビリテーションは、医師の指示に基づき、自宅で生活を送る高齢者の機能回復や維持を支援するサービスです。
厚生労働省によると、「心身機能の維持・回復」「生活動作の自立支援」を目的に、理学療法士等が定期的に利用者宅を訪問して行うものと定義されています(出典:厚生労働省 公式ページ)。

何度転職しても、その想いだけは変わらなかったからこそ、今こうしてこの仕事を続けられているのだと、感じています。


2. 病院と訪問リハビリ、進め方はこうも違う

〜「移動手段」だけでこんなに違う〜

病院勤務時代の訪問リハビリでは、安全第一で、🚴‍♂️ 自転車移動が基本でした。
でも今は、🏍️バイクが相棒。というのも——

👉 雨の日の訪問、どんなレインコートを選べば快適?
訪問看護での雨対策に。実体験からすすめる高機能レインコートの自己購入

京都の街は観光客で混雑しやすく、駐車場の確保も一苦労。
だからこそ、渋滞をすり抜け、時間を最大限に使うために、バイクで駆け回る毎日です。

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「京都の観光地を抜けて、利用者さんのご自宅へ。
バイクじゃないと時間が読めないんです…」

台風以外はほぼバイク。
「風を切りながら、次の利用者さんの元へ」
このスタイルにも、すっかり慣れました。


3. 訪問リハビリ1年目|自分で判断するプレッシャーの正体とは?

訪問リハビリを始めて、いちばん不安だったのは──
「すべてを自分で判断しなければならない」 というプレッシャーでした。

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「このまま様子を見て大丈夫?」
「救急車を呼ぶべき…? それとも病院に連れていくべき?」

誰にもすぐには相談できない環境で、そんな迷いが頭の中をグルグル巡っていました。

📌病院なら、すぐ近くに医師や看護師がいて相談できるのに。
訪問では、熱や痛み、食欲不振などの複数の症状が重なった時、すべて自分の判断に委ねられます

経験の浅かった私は、「肺炎かもしれない…」と不安に駆られ、どうすればよいか何度も立ち止まりました。

🔻ご家族から「どうしましょう?」と尋ねられるたびに、頼られる嬉しさよりも、“間違えたらどうしよう”という怖さのほうが大きかった。

今なら気づけるちょっとした変化も、当時の私は、自信を持って判断することができなかったのです。


4. 今だから笑える、1年目の失敗談

新人の頃の自分を思い出すと、今では笑って話せる“ちょっとした失敗”がいくつもあります。
あの頃は本気で焦っていたけれど、きっと誰しも通る道──。
今回は、そんな「あるあるエピソード」を少しだけご紹介します。

① 🪪 名刺交換、立ったまま渡しちゃった問題

病院勤務では名刺交換の習慣がなかったので、初訪問での挨拶がとにかくぎこちなくて…。

利用者さんが座っているのに、私は立ったまま名刺を差し出してしまったことも。

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あのときの空気、今でも思い出せます(笑)

✅ 成長ポイント

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目線を合わせて丁寧にご挨拶する。

──そんな基本のマナーを身につけたのは、実はかなり後になってからでした。


②🏠 ここ、裏口じゃん!と気づくまでの5秒
Googleマップを頼りに訪問していると、裏口と正面玄関を間違えることが多々…。

業者さんがいつも裏口を使っているお宅などでは、
インターホンを押す寸前まで「…あれ、なんか違う?」と一人で焦っていました。

✅ 成長ポイント
🏷️ これが学び!
・迷ったら、まず表札の位置とインターホンの有無をチェック
・事前にGoogleストリートビューで確認できると安心

💬 コメント的補足

こうした“1年目ならではの小さな失敗”って、誰にでもあります。

大事なのは「そこから学んだこと」と「次に同じことを繰り返さないこと」。

そしていつか笑い話にできる日が、きっと来ます😊

▶︎ 同じように悩みながら前を向いた“3年目ナースの本音”はこちら
【インタビュー】3年目ナースが語る1年目の地獄と希望|配属・失敗・人間関係のリアル


5. 在宅18年で見えた「利用者とともに築く価値観」が支援の軸になった理由

病院では、「医学的に正しいこと」が何より優先されます。
たとえば、安全のために抑制帯を使うことが「正解」とされる場面もありますよね。

でも──
在宅では…それが必ずしも“正しさ”とは限らない。

現場で18年関わってきた今、私がいちばん大事だと思うのは、

💡「その人が、どう生きたいか」という価値観を大切にすること。

利用者さんの「こうしたい」に寄り添いながら、
どうすれば安全に、それを実現できるかを一緒に探っていく。
そのスタンスが、訪問リハビリでは本当に求められます。

昔の私は、
「こうした方がいいですよ」とつい“上から目線”でアドバイスしてしまいがちでした。
でもそれは、相手の価値観を置き去りにした関わり方だったと、今ならわかります。

💡「先生」と呼ばれても、“導く人”ではなく、“ともに歩む人”として在りたい。

利用者さんと共に価値観を築きあげていく——
その大切さが、本当の意味で腑に落ちたのは、18年という時間を経てからでした。


6. 1年目の自分に、今声をかけるとしたら?

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訪問って、本当に難しいよね。でもね……だからこそ、忘れられないやりがいもあるんだって、今なら分かるよ。

そう伝えてあげたいと思います。

🌀 たしかに、訪問は簡単じゃない。

病院では、急性期の回復に向けた支援が中心で、感謝される場面も多い。
でも訪問リハビリはちがう。
回復が見込めないケースもある中で、喪失に寄り添い、進行性の病気と向き合う時間が多い。

🧭「治す」よりも、「生きる」を支える。

ALSのような疾患では、回復よりも「どう生きていくか」が問われます。
ご本人やご家族とのズレに直面することもある。
時には、ぶつかってしまうことだってある。

🌱 それでも、確かにある“やりがい”

それでもなお、その人の人生に深く関われるという、
他では味わえないやりがいが、訪問リハにはあります。

ふとした一言や、小さな笑顔に“これでよかった”と思える瞬間がある。

迷いながらも、試行錯誤しながらも、

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「ご家族とのすれ違いがあった」


「これでよかった」と思える瞬間に、きっと出会えるから。

あなたが悩んでいるなら、それは“本気で向き合っている証”です。

▶︎ 同じように“悩みの正体”と向き合った先輩ナースの声はこちら
「私だけ?」新人看護師の尽きない悩みと不安|経験者が語る乗り越え方


7. 怒られた時、自信をなくした時に立ち直る方法

訪問の現場では、どれだけ丁寧にやっても怒られることがあります。
誤解だったり、相手の事情だったり、自分ではどうにもできない理由で責められることも──。

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「怒られたとき、全部自分のせいに思えて…何もかも自信をなくしかけたんです」

そんなとき、以前の私はひどく落ち込んで、自分のすべてを否定されたような気持ちになっていました。

でも最近は、「考え方や価値観は人それぞれ。合わない人がいるのは当たり前」
そう割り切ることで、少しずつ心が軽くなってきました。

すべての人に好かれる必要はありません。

分かり合えない人がいても、あなたの誠実さまで否定されるわけじゃない。

👣そう思えるようになってからは、感情に振り回されずに、また次の訪問へと進めるようになりました。

※落ち込むのは真剣に向き合ってる証拠。それだけで十分すごいことです。


8. 訪問リハビリに向いている人、向いていない人

訪問リハビリって、どんな人に向いているんだろう?
現場で感じた“向き・不向き”についてお話しします。

訪問リハビリでは、
🌱 「自分なりの考え」や「価値観」を持っている人 が、より力を発揮できると感じます。

なぜなら、ただ「求められるままに動く」だけではなく、
💭 ときに葛藤やズレを感じながらも、自分の軸を持って関わる ことで、
👤 利用者さんとの ちょうどよい距離感 を築けるからです。

その距離感こそが、
🔧 専門職としての信頼 につながり、
🌟 長く続けられる “やりがい” にもつながっていきます。

💬 まとめ
自分の考えを持って、利用者さんと誠実に向き合える人にとって、訪問リハは“やりがい”に満ちた現場です。


9. 1年目が知っておけばよかった「本当にやばい」を見抜く力

✍️ 1年目の自分に、いちばん伝えたいのは──
 「これは病院に行くべき」と判断できる“本当にやばい状態”を見極める力 の大切さです

🚨 たとえば、以下のようなケース:
 ・麻痺が出てきた
 ・声が出せない
 ・指先が黒く変色している
 👉 一見リハビリの範囲に見えても、実は緊急性の高い症状だった……ということも。

🏥 病院では → 医師や看護師がすぐに対応してくれます
🏡 訪問では → “その場で判断する立場”になることも

利用者
利用者

「昨日まではちゃんと歩けたのに、なんか足がもつれるというか、うまく踏ん張れない感じで…………、転びそうになったし。」

だからこそ、「見逃さない目」と「迷ったときの対応力」は、利用者さんを守るために欠かせない視点


まとめ|その不安、あなた一人じゃない。ベテランPTからのエール

❗訪問リハビリは、ときに「すべてを一人で背負っているような気持ち」になることがありますよね。

💡でも、その不安は、あなたが本気で利用者さんのことを考えているからこそ生まれるもの。
それは、決して弱さではなく、誠実に向き合う人だけが抱ける“強さ”です。

✅自分の想いを大切にしながら、利用者さん一人ひとりの人生や価値観に寄り添うこと。
そして少しずつ、「これは本当に危ない」というサインを見抜ける目を育てていくこと。

🌱その積み重ねの先に、きっとあなたにしか感じられない“やりがい”が待っています。

もし今、迷いや不安で立ち止まっているのなら、どうか焦らないでください。

この世界には、あなたのように真っ直ぐに向き合える理学療法士を必要としている人が、必ずいます。