※本記事にはPRを含みます
この記事でわかること
・印象に残りやすいキーフレーズの意味(「一年後、この世にいないとしたら」など)
・がん体験と心の動き(不安・喪失・家族の負担)
・レジリエンス/心的外傷後成長の捉え方
・「マスト(ねばならない)」から「ウォント(したい)」へ戻る実践
本の概要:テーマは「人生の締切」を自分の手に取り戻すこと
この本の核はとてもシンプルです。
- 自分の人生がいつ終わるかは誰にもわからない
- だからこそ、今を先延ばしにしない
- そして、病や喪失に直面した人の言葉から、生き方の優先順位を取り戻していく
がん医療の現場で患者さん・ご家族の心のケアに関わる立場から、「死」を見つめることで「生」が立ち上がる感覚が語られていきます。
印象に残るフレーズを生き方の問いに変える
もしも一年後、この世にいないとしたら。
この言葉は脅しではなく、優先順位をはっきりさせるためのスイッチとして働きます。
「いつかやる」「落ち着いたらやる」「定年後に」——そうやって先送りしてきたものが、本当に大切なら、今日の行動に落ちてくるはずだ、という問いです。
自分の人生がいつ終わりを迎えるのかは誰にもわからない
知っているのと腑に落ちているのは別物で、ここがズレると、日々は簡単に惰性になります。
だからこの本は、読者に「死の現実感」を少しだけ取り戻させる書き方をしています。
がん体験は「身体」だけでなく「人生の前提」を揺らす

がんという体験は、単なる「病気」を超えて、私たちの生活のあらゆる側面を揺さぶります。本書では、そのストレスを以下のように整理しています。
| がんに伴うストレス | 具体例 |
| 人生そのものに対する脅威 | 死 |
| 身体的な辛さ | 痛み、だるさ、吐き気 |
| 機能障害 | 人工肛門、失声、不妊 |
| ボディーイメージ | 乳房切除、やせる、脱毛 |
| 社会的問題 | 失職、学業の中断、人間関係の悪化 |
この表を見るとわかる通り、失うものは「健康」だけではありません。仕事や役割、自分自身の外見といった「これまでの自分を支えていた基盤」が揺らぐからこそ、心に大きな衝撃が走るのです。
この本の重要な視点はここです。
- 治療が終わっても「再発しないだろうか」という不安が残る
- 仕事・役割・誇り(アイデンティティ)が揺らぐ(例:料理人の味覚障害など)
- 「一口にがん体験といっても、100人いれば100通り」
「一口にがん体験といっても、100人いれば100通り。そのリアリティをより深く知るために、当サイトでインタビューした乳がんサバイバー・きなこみるくさんの体験記もぜひあわせて読んでみてください。
▶︎ 【体験談】トリプルネガティブ乳がんと診断された日から2年半。治療費・副作用・仕事の現実を伺いました
告知待ちの苦しさや、仕事を手放す決断など、本書で語られる『人生の前提が揺らぐ瞬間』が克明に綴られています。」
同じ診断名でも、失うもの・怖さ・支えの形が違う。だから、誰かの体験を「一般化」しすぎない姿勢が一貫しています。

同じ診断名でも、失うもの・怖さ・支えの形が違う。だから、誰かの体験を「一般化」しすぎない姿勢が一貫しています。
「100人いれば、100通りの捉え方や苦しみがあります。そんなリアルな『個別のストーリー』を動画で配信されているのが、**『がんノート』**という活動です。
[がんノート公式サイトへのリンク]
ここでは、家族や仕事、お金など、日常のリアルな経験談が笑いとともに発信されています。清水先生の本で語られる『個別の向き合い方』を、より身近に感じられるはずです。」
【参考】より正確な情報・統計を知りたい方へ 本記事で触れた数値や最新の統計、また具体的な病状や治療に関する公的な情報は、国立がん研究センターが運営する**「がん情報サービス」**で確認することをおすすめします。
日本で最も信頼できるがんの情報サイトです。患者さんご本人はもちろん、ご家族向けの相談窓口や「お金・仕事」に関する制度についても非常に詳しくまとめられています。
「家族は第二の患者」——支える側にもケアが必要
がんは本人だけの出来事ではなく、生活を一緒に背負う人にも負担が移ります。
「家族は第二の患者」という言葉は、家族のつらさを“甘え”にしないための、強いラベルです。
- 支える側ほど、弱音を吐けない
- 情報・意思決定・生活の変化が重なる
- 孤立すると折れやすい
この本を読む価値は、患者本人だけでなく、身近な人の立場にも言葉があるところにもあります。
レジリエンス:折れないことではなく「戻ってくる力」
あなたの引用にも出ていた通り、レジリエンスは“平気でいる能力”ではありません。
- 悲しみ・怒り・苦しみを押し込めない
- 「落ち込むこと」も回復のプロセスの一部
- しなやかに揺れたあと、少しずつ戻ってくる
そして大事なのは、成長を義務化しないこと。
心的外傷後成長(PTG)の話が出ても、「成長しなきゃ」と自分を追い込まない、という姿勢がセットで語られます。
「マスト/ウォント」:苦しみの根っこをほどくキーワード
この本が刺さる人が多いのは、ここが具体的だからです。
- マスト(must):「〜ねばならない」「こうあるべき」
- ウォント(want):「本当はこうしたい」「本当は嫌だ/怖い/頼りたい」
「こうでなくてはならない」という内なる声が、ありのままの自分を締めつける。
その結果、頑張れているように見えても、心のどこかが削れていく。
今日からできる小さな実践(本のエッセンスを生活に落とす)
大きく人生を変えるより、まずは行動の最小単位から。
1)「一年後いない前提」で、優先順位を3つ書く
- 今週やめたいこと
- 今週増やしたいこと
- 今週連絡したい人(1人でOK)
2)小さなマストへの反抗を1回だけ
例:行きたくない誘いを断る/休む/予定を詰めない、など
ポイントは規模ではなく、自分の本音を優先した事実を作ることです。
3)ウォントの声を拾う練習(超小さい選択で)
食べ物、散歩コース、休日の過ごし方など、リスクが小さい領域で
「理屈」より「いまの感覚」を優先する時間を少しだけ作る。
こんな人におすすめ
- このままでいいのかなが頭の片隅から消えない人
- やりたいことを先延ばしにしている自覚がある人
- 仕事や役割で自分を保ってきた人(崩れるのが怖い人)
- がん患者さん・家族・支援者として、言葉を探している人
読後に残る問い
この本の強さは、説教ではなく問いが残るところです。
- もし10年先がないとしたら、何をやめて、何を増やす?
- 誰の期待を生きていて、誰の時間を後回しにしている?
- ねばならないは、あなたを守っている? それとも縛っている?
記事のまとめ
『もしも一年後、この世にいないとしたら。』は、死を見つめて落ち込ませる本ではなく、今日を取り戻すための本です。
「レジリエンス」「心的外傷後成長」「マスト/ウォント」という言葉が、人生の実感に接続されているのが読みどころでした。