※本記事にはPRを含みます
結論:訪問看護は「合う人には天職」。ただし“職場選び”で難易度が変わる
訪問看護は、一人の利用者さんと向き合えるぶん、やりがいも大きい働き方です。
一方で、しんどさの正体は技術よりも ①導線(移動)②衛生(家屋環境)③安全文化(相談体制) に出やすい。
だからこそ、転職前にやるべきことはシンプル。
- 向き不向きを自己判定する
- 平均訪問件数・移動時間・相談ルートを面接で確認する
- 見学で「空気」と「説明の透明性」を見る
この3つができると、訪問看護は「不安」から「選べる」へ変わります。
この記事でわかること
・病棟ナースが訪問看護に惹かれた“本当の理由”
・訪問看護の向き不向き(合う人/しんどい人)
・1日の訪問件数のリアルと“ブラック化する境界線”
・在宅ならではの衛生・マナー(スリッパ、畳の注意点など)
・点滴対応の現場感(翼状針の使いどころ)
・転職前に絶対聞くべき質問リスト(コピペで使える)
はじめに:訪問看護って「気になるけど不安」…その気持ちを、経験者の言葉でほどく
「病棟が忙しすぎて、最低限のケアしかできない」
「50代を迎える前に、働き方を変えたい」
「訪問看護って楽しそう。でも“一人で行く”のが怖い」
今回お話を伺ったのは、病棟経験が長く、2026年1月から訪問看護を始める予定の看護師さん(仮名:Kさん)。
訪問看護“デビュー前”だからこそ語れる、病棟から在宅へ視点が切り替わった瞬間と、現場で起きがちな衛生・導線・点滴のリアルを、できるだけ具体的にまとめます。
※本記事はインタビュー内容をもとに、個人や勤務先が特定されないよう一部表現を調整し再構成しています。
※制度・報酬・監査等の話題は、Kさんが「そう聞いた/そう感じた」範囲の内容です。最新の事実確認は、必ず公的情報・所属先でご確認ください。
インタビューした人(仮名:Kさん)のプロフィール|訪問看護デビュー前の経歴
Kさんは、いわゆる“ずっと同じ土地で、病棟編成に巻き込まれ続けたタイプ”の看護師さんでした。
- 新卒:約180床規模の病院でスタート(消化器・循環器系病棟)
- 4〜5年勤務後、役職昇格のタイミングで外科病棟へ
- 外科領域に通算約10年在籍
- 退職後:派遣やクリニック勤務などを挟みながら約2年
- その後、特養で正規雇用に切り替えて約2年
- 直近は同一法人(病院名変更あり)で**10年以上(15年未満)**在籍
※本人が「十何年…」と表現しており、年数は確定ではありません - 後半は編成の影響で、泌尿器科・脳神経内科・呼吸器・内分泌・糖尿病などミックス対応へ
ポイント:しんどさの原因は「人間関係」ではなく“構造”
Kさんが削られたのは、
「誰かが悪い」ではなく、忙しさ×編成混在で“チームがまとまりにくい環境”が続いたことでした。
病棟から訪問看護へ。転向を決めた「4つの理由」
1)頑張る人に負担が寄る構造が、変わらなかった
忙しい病棟ほど起きやすいのが、
「頑張る人」と「ペースを変えない人」の差が、そのまま負担差になる問題。
中堅として「チームとして動く」意識を広げようとしても、相手は変えられない。伝え方も難しい。
その積み重ねが、じわじわ効いてきたそうです。
2)“最低限のケア”しかできない葛藤が大きくなった
「本当はもっと見てあげたい」
「でも忙しくて、最低限しかできない」
この葛藤は、まじめな人ほど削られます。
Kさんはまさにそこが限界に近づいていました。
3)50代を前に、働き方を組み替えたくなった
夜勤ができないほど体力が落ちたわけではない。
ただ、重症者対応や超勤の精神的負荷が積み上がり、
「このまま続ける未来が想像しにくくなった」と言います。
4)身近な人の「訪問看護、意外といいよ」が背中を押した
周りに訪問看護へ移った人が増え、
「最初は嫌だったけど、病棟よりいい」と言う声もあった。
さらにKさん自身、退院支援に関わった経験があり、
「送り出す側」から「受け皿側」へ回るのも自然だったそうです。
訪問看護の向き不向き|合う人・しんどい人の特徴
向き不向きは“優劣”ではなく、スタイルの相性です。
訪問看護が合いやすい人
- 一人の利用者さんに向き合うスタイルが好き
- “作業を回す”より、“観察して考える”が好き
- 家に上がること、生活背景に踏み込むことを苦にしない
- 不衛生・想定外を「工夫」で越えられる
訪問看護がしんどくなりやすい人
- 病棟のマルチタスクを高速で回すのが快感
- 1対1より、チームでガンガン動く方が合う
- 家屋環境(衛生・臭い・物量)へのストレスが大きい
これ知らないと詰む:在宅の「衛生・マナー」のリアル
訪問看護は、技術よりも先に“生活の現場”が来ます。
スリッパ問題:患者宅専用の持参が現実的
Kさんの現場では、
「患者さん家で使うスリッパを用意し、洗浄して使う」
という工夫が当たり前にありました。
畳の“定位置”に座らない:知らないと事故る
印象的だったのがこの話。
- 畳の一角が「いつも粗相が起きやすい定位置」
- 見た目では分からない(濡れていなければ気づかない)
- 事情を知らない訪問者(例:ケアマネさん)がそこに座ってしまうこともある
在宅は、“知らない”がそのままリスクになり得る。
この感覚を持っておくだけで、初訪問のストレスはかなり減ります。
1日の訪問件数と導線|“ブラック化”する境界線
訪問看護のしんどさは、看護技術より**導線設計(移動)**で決まることがあります。
- 地域によっては片道40分かかることもある(Kさんの経験談)
- 都市部は移動10分程度のケースもある(Kさんが聞いた話)
Kさんの感覚では、
- 1日5〜6件が現実的
- それ以上(例:1日10件)になると、食事が運転中になるなど安全リスクが跳ね上がる
だから転職前はここを確認必須です。
**「平均訪問件数」「1件あたりの訪問時間」「移動時間の見込み」「導線の組み方」**は、面接で具体的に聞いてOK。
在宅の点滴はどうしてる?|“ピカチュウ(翼状針)”という選択
点滴の話も、現場感が強くて参考になりました。
- 漏れトラブルがあると再訪が必要になる
- そのリスクを減らすために、**翼状針(通称:ピカチュウ)**を使う場面がある
- 維持的な補液などで、運用としてそうしているケースがある(Kさんが聞いた話を含む)
一方でKさんは、過去にいた職場で
「時間内に落とすために滴下を速める」など、危うい運用があったとも語っています。
ここは“やり方の違い”というより、安全文化の違いが出るところ。
点滴に関わる可能性がある人ほど、先にここを確認すると安心です。
- 点滴の運用ルール
- 誰が判断するか
- 無理な指示が出たときの相談ルート
不正請求・監査強化のニュースが不安…現場の見え方(※体験談としての注意点つき)
Kさんは、訪問看護領域で耳にしたという「不正請求・名義貸し」などの話にも、強い問題意識を持っていました。
ただしこれは外から見えにくく、話題としてもセンシティブです。
ここで大事な注意点:
本パートは、Kさんが「そう聞いた/そう感じた」範囲の内容であり、特定の事業所を指摘するものではありません。制度・監査の最新情報や正確な運用は、必ず公的情報・所属先で確認してください。
その上で、転職段階でできる“自衛”としては、
- エージェント経由で“内部の評判”を聞く
- 「記録の仕組み」「チェック体制」「困った時の相談先」があるかを見る
- 見学で、スタッフの空気・説明の透明性を確認する
…といった、“組織の健全さ”を観察する質問が効きます。
これから訪問看護を目指す人へ|転職前に聞くべき質問リスト(コピペOK)
面接・見学・エージェント面談で、ここだけは押さえると失敗しにくいです。
業務量・導線
- 1日の平均訪問件数は?
- 1件あたりの訪問時間と記録時間は?
- 移動手段(車・自転車)と移動時間の見込みは?
- 導線は誰がどう組む?当日変更はどれくらいある?
安全文化・医療行為
- 点滴や医療処置は、どの程度ある?
- 困った時の相談(オンコール・管理者・医師連携)は?
- ヒヤリハット共有や振り返りは機能している?
衛生・家屋情報
- 初回訪問前に「家屋の注意点(衛生・動線)」は共有される?
- 物品や感染対策のルールは整っている?
給与・働き方
- 給与は固定給中心?インセンティブ比率は?
- 訪問件数が少ない月の最低保証は?
- 週3など短時間勤務の制度は?(社会保険は雇用形態・労働条件で変わるため要確認)
まとめ:病棟から訪問看護は、“逃げ”じゃなく再設計
Kさんの話を一言でまとめるなら、これでした。
- 病棟が嫌いになったわけじゃない
- ただ「このままの働き方」では、やりたい看護が削られていく
- だから、在宅というフィールドで“受け皿側”をやってみたい
訪問看護は、合う人には本当に合う。
でも、導線・衛生・安全文化が整っていないと、一気にしんどくなる。
だからこそ、転職前に具体質問で“現場の設計”を見抜くことが最大の武器になります。