「復帰したら、前みたいに動けない」
「子どもの熱で休むたびに、病棟の空気が気になる」
「辞めたい。でも辞めたら終わりな気がする」
育休明けの看護師なら、一度はこんな気持ちを抱えたことがあるのではないでしょうか。
今回、看護師歴17年・子沢山で子育てしながら働くりかこさんに、育休明けのしんどさと、そこから抜け出すヒントをじっくり聞きました。聞き手は、応援ナースとして全国5か所で働いてきた僕、オカダです。
この記事を読むと、「耐える」か「辞める」か以外の働き方と、派遣会社選びで損をしないコツがわかります。
辞めるかどうかを決めるのは、読み終わってからで大丈夫です。
この記事でわかること
- 育休明けの看護師がつらくなる本当の理由
- 辞める・耐える以外の「第三の選択肢」
- 同じ病棟でも夜勤1回で約8,000円変わる、派遣会社選びの落とし穴
- いきなり派遣登録しなくていい、気持ちが楽になる情報収集のやり方
看護師の育休明けがつらいのは、あなたが弱いからじゃない
先に、僕の考えを書いておきます。
育休明けがつらいのは、あなたの能力や根性のせいではありません。
しんどさの大きな原因は、「今の職場で耐える」か「辞める」か、その二つしか見えなくなっていることだと思います。
17年目ワーママ看護師・りかこさんのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 看護師歴 | 17年目 |
| 経験 | 一般病棟(消化器外科・緩和ケア中心)、手術室 |
| 資格 | 急性期ケア専門士(育休中に一発合格) |
| 家族 | 夫と子どもたち(子沢山)、ワーママ歴10年以上 |
| 発信 | Instagram「看護師りかこ」@ricaco_ns(フォロワー約1.6万人)で看護知識を漫画で発信 |
りかこさんは、一般病棟の看護師が「あの時これを知っていたら」と後悔しなくて済むように、アセスメントを漫画で解説しています。
本人も、育休明けに疎外感を味わったり、思うように働けずキャパオーバーになったりした経験があります。だからこそ、知識と気持ちの両方から看護師を支える発信を続けています。
聞き手の僕(オカダ)は看護師歴約20年。今回はオンラインで2時間以上、お互い本音で話しました。
看護師が育休明けに「つらい」「辞めたい」と感じる3つの理由
体力的にきつい、というだけではありませんでした。りかこさんと話していて出てきたのは、この3つです。
① 子どもの発熱で「休めない空気」が一番しんどい
小学校に上がる前の子どもは、本当によく熱を出します。
「子どもが小さいうちは、休めないことが一番のネック。正社員で働き続けるときも、転職するときも、ここが引っかかるんです」(りかこさん)
家庭の事情で休みが続いた時期も、りかこさんは「辞めづらいし、休みづらい」と感じながら、そのまま働き続けたそうです。
② 復帰後の疎外感と「前みたいに働けない」焦り
育休のあいだに、病棟のルールもメンバーも変わっています。時短で先に帰るときの、あの後ろめたさもあります。
「自分だけ置いていかれている」——りかこさんも、この感覚に苦しんだ一人です。
③ 同じ働き方の人としか話さないから、選択肢が見えない
今回の取材で、僕がいちばんハッとした言葉です。
「ずっと同じ病院で、安定した働き方をしている人とばかり話してきたので、頭が固かったんです。いろんな働き方の人に出会って、最近ちょっと感覚が変わりました」(りかこさん)
大きくて安定した病院ほど、ベテランが辞めず、いわゆる「お局」が多い職場もあります。それでも、そもそも「辞める」という発想が浮かばない。そういう人ほど、しんどさを一人で抱え込んでしまいます。
つらいのは、「逃げ道がない」と思い込んでいるから。そう気づくだけでも、少し肩の力が抜けるはずです。
育休明けの看護師は、辞める前に「派遣でお試し」という選択肢を
りかこさんが「あの時知っていたら」と話していたのが、派遣で一時的に働き方を変えるという方法です。
子育て中は「週2日」「土日だけ」の派遣で日数を減らせる
派遣には、「週2日からOK」「土日だけ」といった求人もあります。
「家庭が大変な時期に、極力日数を減らしたかった。週2回とか土日だけとか、一時的にそういう働き方をしてもよかったかもしれない」(りかこさん)
ずっと続けるわけじゃなく、「子どもが落ち着くまでの1年だけ」と期間を区切って使う。それだけでも、辞めるか耐えるかの二択から一歩外に出られます。
デイサービス・施設など、病院以外の職場を派遣でお試しできる
病院しか知らない看護師にとって、デイサービスや施設、健診、訪問入浴は、ほとんど未知の世界だと思います。
- 正社員でいきなり転職するのは怖い
- 介護士さんとの関係が合うか不安
- 自分に向いているかわからない
こんな不安があるなら、まず派遣で数か月働いてみるのも手です。合わなければ戻ればいいし、合えばそのまま続ければいい。紹介予定派遣なら、派遣期間のあとに直接雇用へ切り替える道もあります。
注意|未経験の急性期に派遣で行くのはおすすめしない
派遣や応援ナースは、基本的に即戦力として呼ばれる働き方です。
たとえば脳外科の経験がないまま、急性期の脳外科病棟に派遣で入るのは、正直かなりきついと思います。僕自身が脳外科出身なので、なおさらそう感じます。経験を積みたいなら、慢性期や回復期など、段階を踏める職場から始めるほうが安心です。
応援ナースを選ぶ看護師の、意外と現実的な理由
応援ナースというと、「いろんな土地で働きたい」「旅行気分」というイメージが強いかもしれません。でも、僕が現場で出会った人たちの理由は、もっと現実的でした。
- 定年後の再雇用で給料が半分〜3分の2に下がるので、応援ナースを選んだ60代
- 寮費・光熱費が無料の職場を全国から探して、住居費を極限まで抑える人
- 「夜勤はしない」「寮付きのみ」など、条件にこだわり抜いて選ぶ人
- ペット可の寮を探して、猫5匹や犬と一緒に赴任する人
みんなに共通していたのは、自分の譲れない条件がはっきりしていたことです。育休明けのママ看護師なら、「日数」「休みやすさ」「通勤時間」あたりでしょうか。そこから逆算すると、選べる職場は思っている以上にあります。
応援ナースの派遣会社の違い|同じ病棟でも条件はこんなに変わる
ここからは僕自身の話です。言いたいことはひとつで、派遣会社は1社だけで決めないでほしいということ。同じ病棟で同じ仕事をしていても、紹介してくれた会社によって条件がはっきり違いました。
スーパーナースとパソナを比較|高知の精神科で夜勤1回8,000円の差
いま僕が働いている高知の精神科病棟には、いくつかの派遣会社から看護師が来ています。同じ病棟で働く人に条件を聞いてみたら、こんな違いがありました。
| 比較項目 | スーパーナース | パソナ |
|---|---|---|
| 日勤のみの時給 | 2,450円(筆者) | ほぼ同水準 |
| 夜勤1回あたり | 約4万円 | 5万円弱 |
| 移転費(引っ越し代) | 行き・帰りの往復 | 片道のみ |
※2026年、高知県内の同じ病棟で僕が聞き取った内容です。案件・時期・契約によって変わります。
日勤だけならほとんど差はありません。でも夜勤に入るなら、1回で約8,000円違います。月4回なら、月3万円以上の差です。
そのかわり、スーパーナースは移転費が往復で出ます。日勤だけで働く人や、遠くに赴任する人なら、トータルではこちらのほうが得になることもあります。
求人票ではわからない「前残業」と「途中で辞めるときの対応」
5か所を回ってみて痛感したのは、求人票を見ているだけではわからない差があることです。
- 前残業の扱い:始業1時間前に来て情報収集やミキシングをするのが当たり前の現場もあります。1分単位で申請できるのか、「丸め」で払われないのかは大違いです。
- 途中で辞めるときの対応:パワハラや人間関係のトラブルは、行ってみないとわかりません。僕が使ってきたスーパーナースは、こうした場面で病院との間に入って交渉し、次の職場の紹介まで動いてくれました。一方、契約途中で辞めると移転費の返金や次の紹介停止などのペナルティがある会社もあり、実際にそうなった知人もいます。
- 入職手続きの手間:病院との直接契約か、派遣会社経由かで、書類のやり取りや確定申告の流れも変わります。
契約内容は会社や案件ごとに違います。登録する前に、「途中で辞めるときの扱い」「残業の申請方法」「移転費がどこまで出るか」だけは、必ず確認しておいてください。
「パソナしか知らない」「スーパーナースって大丈夫?」という人へ
知名度だけで選ぶと、1社しか登録しないまま比べる機会を逃しがちです。反対に、「聞いたことがない会社はちょっと不安」という声もよく聞きます。
僕の答えはシンプルで、今から応援ナースを始めるなら、スーパーナースを使います。往復の移転費にも、トラブルのときのサポートにも、実際に助けられてきたからです。そのうえで、夜勤でしっかり稼ぎたい人は、何社かの条件を並べて比べてみてください。
育休明けで迷っているなら、派遣登録の前に「話を聞くだけ」でいい
りかこさんが実際に派遣会社に登録しようとして驚いたのは、提出するものの多さだったそうです。
「派遣って、最初からマイナンバーや銀行口座、顔写真まで出すんだと思って、途中でやめようかと思いました。情報収集のつもりだったので、正直ハードルが高かったです」(りかこさん)
派遣は雇用契約を結ぶための登録なので、本人確認書類や免許証が必要になるのは仕方ない部分もあります。ただ、まだ迷っている段階なら、そこまで一気に進めなくて大丈夫です。
看護師転職サイトは「選択肢を知る」ために使えばいい
看護師の転職サイトなら、LINEや簡単な入力だけで担当者と話せるところが多いので、情報収集の入り口としては気軽です。
りかこさんも、ナース専科の担当者と実際に話したことがあるそうです。すぐに転職しなくても、「今の自分にはどんな選択肢があるのか」がわかるだけで、追い詰められた気持ちはずいぶん軽くなります。
転職サイトの上手な使い方3ステップ
- 譲れない条件を決める:日数、日勤のみ、通勤時間、休みやすさなど
- 今の地域に、その条件の求人があるか聞く:公開されていない求人も含めて
- 複数の担当者の意見を聞いて比べる:1社の意見だけで決めない
僕がよくすすめているのは「ナース専科 転職」です。求人が多く、「お助けナース」として応援ナースの案件も扱っています。僕自身も登録して、面接まで進んだことがあります。
登録は無料です。「いい求人があったら教えてください」くらいの温度感でも、まったく問題ありません。
急性期を辞めたい1年目の看護師へ|17年続けた先輩からの言葉
この記事を読んでいる人の中には、育休とは関係なく「急性期がしんどい」「1年目だけど辞めたい」と悩んでいる人もいると思います。
りかこさんは、これまで仕事もバイトも一度も辞めたことがないそうです。ただ、それは「強いから」ではないと言います。
「しんどくても辞められない、というのは私の欠点でもあるんです」(りかこさん)
17年続けてきた人がこう言うのは、すごく大事なことだと思います。続けることだけが正解じゃない、ということです。
僕が全国の現場で出会った看護師も、本当にいろいろでした。60代で応援ナースを始めた人、6か所以上を回っている人、急性期が好きでずっと急性期を選び続ける人。働き方に「こうあるべき」なんてないんだと思います。
今の経験は、この先どこで働いても必ず活きます。そのうえで、「ここで限界まで頑張る」以外の道もあることだけは、覚えておいてください。泣きながら通勤しているなら、一度だけでいいので、外の選択肢をのぞいてみてほしいです。
看護師の育休明け・派遣についてよくある質問
Q. 子育て中に派遣で働くと、子どもの急な休みで迷惑をかけませんか?
派遣でも急な欠勤が続けば職場に負担はかかります。ただ、週2日・土日のみなど最初から勤務日数を絞れるのが派遣の強みです。家族の協力体制とセットで、無理のない日数から始めましょう。
Q. 派遣だとボーナスがないけど、結局損じゃない?
時給が高めでも、ボーナスや退職金を含めた年収では常勤とあまり変わらない、または下がる場合があります。「お金」より「日数を減らす」「職場を試す」など、目的をはっきりさせて使うのがおすすめです。
Q. 都市部の病棟で派遣を募集しているのはブラックだから?
一概には言えません。僕が横浜で働いた実感では、人気の病院に看護師が集まり、そうでない病院には新人が集まりにくい、という構造の問題が大きいと感じました。気になる職場は、担当者に離職率や人員体制を必ず聞きましょう。
Q. 応援ナースは途中で辞めたらペナルティがありますか?
会社と契約内容によります。移転費の返金や次の紹介停止がある場合もあるので、登録前に必ず確認してください。僕の経験では、スーパーナースはトラブルのときに病院との間に入ってくれました。
Q. 転職サイトに登録したら、しつこく転職を勧められませんか?
「今すぐではなく情報収集したい」と最初に伝えれば大丈夫です。合わない担当者なら変更をお願いすることもできます。
まとめ|育休明けがつらい看護師は「選択肢を知る」だけで少し楽になる
育休明けがつらいのは、あなたが弱いからではありません。耐えるか辞めるか、その二つしか見えなくなっているだけです。
この記事のまとめ
- 日数を減らしたい時期は、派遣で週2日・土日のみという働き方もある
- 病院以外の職場は、派遣で「お試し」してから決められる
- 派遣会社は1社で決めない。同じ病棟でも夜勤1回で約8,000円変わることがある
- 迷っている段階なら、まず転職サイトで話を聞くだけでいい
話を聞いてみるだけで、気持ちがふっと軽くなることもあります。転職するかどうかは、そのあとで決めればいいんです。
応援ナース・派遣で働き方を変えたい方はこちら
看護知識を漫画でわかりやすく学びたい人は、りかこさんのInstagram @ricaco_ns もぜひチェックしてみてください。