
日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでおり、2050年には高齢化率が約40%に達すると予測されています。
高齢者の入院は長期化しやすく、合併症やADL(Activities of Daily Living)低下を招くリスクも高い――その結果、病床がひっ迫し、急な病気や怪我の患者が入院できない事態にもつながります。
そこで注目されているのが「早期離床」と「早期退院」です。
本記事では、令和6年診療報酬改定の内容も踏まえ、高齢者医療・介護現場における最新の取り組みと実践ポイントを解説します。
なぜ高齢者に早期離床が必要なのか
- ベッド上安静10日で下肢筋力は15.6%低下、女脂肪体重は3.2%減少。
- 80歳以上の心疾患患者に20分程度のベッド外活動を取り入れることで、在宅復帰率・入院死亡率が改善。
- 離床は筋力維持だけでなく、褥瘡・拘縮・尿路感染症などの合併症予防にも有効。
早期退院と在宅リハビリの効果
- 標準的な入院ケアと比べ、早期退院+適切な在宅リハビリで退院後のADLが維持・向上。
- 「退院後の生活」を見据えた医療・介護連携が重要。
- 在宅復帰率向上は本人のQOLだけでなく、病床ひっ迫解消にも直結。
高齢化が進む日本の医療需要
- 総人口は2005年をピークに減少、2050年には約9,515万人に。
- 高齢化率は2005年の約20% → 2050年には約40%へ。
- 2040年頃に65歳人口がピーク、生産年齢人口は急減。
- 医療+介護の複合ニーズが急増し、担い手不足が深刻化。
厚生労働省が発表した「人口動態統計月報(概数)」(令和7年3月分)によると、出生数と死亡数の差である自然増減数は、年々マイナス幅が拡大しており、日本の人口減少・高齢化が加速している現状が明らかになっています。
病床ひっ迫のリスクと影響
- 退院できない高齢者でベッドが埋まると、急性期患者の受け入れが困難に。
- 入院長期化は医療の質低下や医療費増大を招く。
- 病床を効率的に回すには、入院初期からの離床・退院支援がカギ。
新人看護師が抱えた理想と現実の壁をリアルな声
令和6年診療報酬改定のポイント
- 医療と介護の切れ目ない連携の推進。
- リハビリ・栄養・口腔管理の三位一体アプローチ。
ベテラン理学療法士が抱える現場の悩みをインタビュー
- 患者の状態に応じた入院医療評価とADL低下防止の評価強化。
- 在宅医療・訪問看護の質向上と機能分化。
現場と地域でできる実践ポイント
- 多職種連携チーム(看護・リハ・栄養・薬剤・歯科)の組成。
ベテラン介護福祉士がみたリアルな現場をインタビューしまいた
- 地域包括ケア会議の定期開催と情報共有。
- 家族・介護スタッフへの合併症予防教育。
- 在宅復帰支援プログラムの導入とPDCAサイクル。
まとめ
高齢者の早期離床・早期退院は、本人の生活の質を守るだけでなく、医療提供体制全体を守ることにもつながります。
令和6年診療報酬改定をきっかけに、医療機関・介護事業所・地域住民が一体となって取り組むことが、これからの超高齢社会を支える大きなカギです。